王に愛された女



 国王はアリシアの頭を撫でながら

「今日はどうしたんだ」

 と、夕べのガブリエルに対する会話と同じ優しい声で聞いた。

「とても会いたくなって…ダメだとは思ったのですが、来てしまいました」

 ガブリエルは、居づらさを感じて足音を立てないようそっと部屋を出た。

――俺の傍にいてくれ。

 夕べの国王の言葉がどこまで本気だったのか、ガブリエルにはわからなかった。

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