王に愛された女



「そうですか。おめでとうございます。妻になるということはつまり、傍にいてほしいと言われたんですね?」

 ガブリエルが聞くと、アリシアは首を振った。

「まだ言われてないわ。でもきっともうすぐ言われるはずよ」

 アリシアのこの自信ありげな態度は理解できないとガブリエルは思った。

 記憶を失ったせいでアリシアが村にいたときどんな人物だったのかわからないが、きっと自分はその時も彼女の態度に困惑していたのだろうとガブリエルは思った。

 刹那。

「ガブリエル、帰ったぞ」

 寝所のドアが開いた。

 ドアの向こうから国王が顔を出す。アリシアが国王に駆け寄った。

「王様、お会いしたかったです!」

 アリシアが国王に抱き着く。国王がクチパクでガブリエルに「ごめん」と言った。

< 116 / 267 >

この作品をシェア

pagetop