王に愛された女




「あぁ…取りに行きたいものがあってな」

 そう言って国王はいきなり自分の左腕に右手を翳(カザ)した。

 何をしているのだろう?ガブリエルが不審に思っていると、左腕の右手を翳した部分が青い光を放った。

「何…?」

 ガブリエルは目を細めた。

 そして、とんでもないものを見た。

 国王の左腕から、剣が出てくる。

「嘘…!」

 ガブリエルは信じられないもの見たさに口を手で覆った。

 それから自分の頬を引っ張って、これが夢ではないことを確認する。

「…なんで…」

 国王は剣を引き抜くと、ガブリエルの顎を掴んだ。

「俺は、神と契約した身なんだ」

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