王に愛された女
奥にあったはずの壁が崩れ去っていて、フィオーレは地震のおかげでできた壁の穴を潜り抜けた。
穴をくぐった先は小部屋だった。
まるで、さっき崩れ去った壁はこの小部屋を隠すために作られたみたいだった。
小部屋の中心には赤い剣があった。
「…なんだこれ」
首を傾げつつも、大体の予想はついている。
おそらくは、国王の言っていた神の力を封じ込めた剣だ。
フィオーレは躊躇うことなく剣を掴んだ。
途端。
剣に組み込まれている丸い石が赤い光を放った。
石から吐き出された炎がフィオーレを包み込む。