王に愛された女




「そういえば、ガブリエルが二回目の覚醒をした」

 オラシオンは彼女の兄であるフィオーレには報告しておこうと思い、告げた。

「ガブリエルが!?早くないですか?」

 フィオーレもオラシオンと同じことを思ったようだった。

「ところで、そなたは…ミハエル殿の息子だったな?」

 オラシオンの言葉にフィオーレは頷いた。

「そうです」

「なら、何故…炎の神を殺さなかった?」

 オラシオンの問いに、フィオーレの顔色が変わった。

「王様?なんてことを――」

「炎の神を倒せたなら、止めを刺すことだってできたはずだ、違うか?」

 フィオーレは何も答えなかった。

 オラシオンは立ち上がり、フィオーレの後ろに立つ。

「フリーゼルは、オマエとガブリエルの両親を――」

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