王に愛された女



――オマエ、出世の為なら何でもするというのか!?

――貴様は欲がなさすぎる!!そんなだから、いつまでたってもガトヤの貧乏な村で暮らしているんだろう!?

 もとはフリーゼルもガトヤの住人だった。

 だが、ムロヤで働くうちに少しずつ地位が上がってきたのだった。

 それに引き替え、ミハエルは誰よりも優れた頭脳を持っているのにそれを無駄にし、地位が上がる機会も逃してばかりだった。

――貴様がいらないなら、この神の刻印のデータは俺がもらう。

――なんだと!?

――これは世の中に発信していくべき事実なのだからな。

 フリーゼルは目を開けた。

「おじい様?」

 いつから傍にいたのか、メランコリーが心配そうにフリーゼルの顔を覗き込んでいた。

「あぁ、メランコリーか…」

「顔色が優れないけど、何かあったんですの?」

 メランコリーは王のことを慕っている。それ故、この間の婚姻ノ式も堪えたようだった。

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