王に愛された女
「王様のことはいいのか?」
フリーゼルは気になって尋ねた。
「えぇ。もう吹っ切れましたわ」
口ではそう言っているが、そうでないことは手に取るようにわかった。
「……そうか」
フリーゼルはそう呟く。
メランコリーは小さく頷いて、息を吐き出した。
「――それに、王様のお心に私のことなどないことくらいわかってたもの」
フリーゼルは顔を上げる。
それには心当たりがあった。新王妃のことではない、別の女だ。
「王様は、私でも新王妃でもなく別の女のことをずっと思ってらしたのよ」
メランコリーが呟く。彼女の長い髪がふわっと揺れた。
「…誰だかわからない、王様の夢に現れた女。新王妃と同じ金色の髪と青い目を持つ女…」
彼女は自分に言い聞かせるように呟いた後、顔を上げた。
「…」
「おじい様、昨日ね、私面白い人にあったのよ。誰だと思う?」