王に愛された女



 ローグはそう言って、本に目を落とす。

「刻印と梵字は、神というキーワードに関しても共通点を持っている。…だから、梵字の意味と刻印の意味は似通っているんだ」

 オラシオンはハッとした。

 まさか―――

 そんな想いが胸の中に広がって行く。

 信じがたいが、そうとしか考えられないかもしれない――。

「梵字のア字は梵字の生みの親だ…。なら刻印ではどういう意味か」

 ローグはそこで言葉を切った。

 オラシオンはゴクリと息を呑む。

「簡単だ」

 ローグはそう言って同時に本を閉じた。

 それ以上言わないでくれ。

 オラシオンはそう思った。






「神の資格を持つ者の証だ」


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