王に愛された女
振り返る。
そこには、フィオーレがいた。
「お兄ちゃん!仕事は?」
「ん…今昼休み」
ガブリエルはバッと立ち上がった。
「だから仕事を手伝いに来た。そっちはノルマ達成まで仕事終われないだろ?」
フィオーレはそう言って、籠の中の服を川の水につけて洗い出した。
「ありがと」
「…いいけどさ。今が夏でよかった。冬だったら死んじゃうかも」
フィオーレは泡のついた手で髪を掻いた。
「お兄ちゃん、…泡」
「え?あぁ、気にしない気にしない」フィオーレは言ってから背伸びをして。「さっきさ、話があるって言ったよな?」
ガブリエルはカチカチした動きで頷いた。