王に愛された女
「…そうか」
そう呟いた国王の疑い深げな視線に、ルークは俯いた。
「…で、でも、王妃様がまさか神の資格を持っているなんて…」
わざとらしい言い方になっていることは自分でもよくわかっているが、今のルークには平静を装って話をすることは至難の業だった。
「そうだな。俺も未だに信じられない」
国王はルークの態度に違和感を覚えないのか、普段通りの口調で言う。
「…どうするんですか、王様?」
「何をだ?」
ルークは顔を上げて聞いた。
国王が眉間に皺を寄せる。
「王妃様は神なんですよ?」
「バカ、声を潜めろ」
国王が明らかに怒ったような顔をした。ルークは失敗を恥じるような素振りを見せる。それで国王は納得したようだった。
「俺だって、神の掟くらいは知っている。その中に決して恋人を作ってはいけないという項目があることも知っている」