王に愛された女



 ガブリエルは手についた砂を払った。

 背中には石が詰め込まれた籠を背負っている。ガブリエルが住む村では男も女も関係なしに重労働が強いられた。

 生まれたばかりの子供でなければ働かなくてはならないこの村。誰がどう頑張っても村は貧乏になっていく一方だった。

 その原因は南方の貧しい国のように子供だけが増えていっているからだ。

「ガブリエル、大丈夫か?」

 その声にガブリエルは顔を上げた。

「うん、平気」

 彼女に声をかけたのは、彼女より二つ年上の兄、フィオーレだ。

 ガブリエルはフィオーレの顔をじっと見つめた。兄妹なのに、フィオーレとガブリエルは全くといっていいほど似ていない。

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