ブラックⅠ-出会い-


「ちょっと待ってね」



ポケットから携帯を取り出したアキさんはそのまま耳に当てると「浴衣なんだけど」だとか「よろしく」だとか数回会話をするとすぐに電話を切った。




「浴衣手配ついたから安心して、学園祭が近くなったら持ってきてくれるってさ」




「え、でも私お金ない」




「貸してくれるだけだから大丈夫だよ、借りるだけだから無料」




お金がない私、だけどバイトが出来ない残念な私。



そんな私を救ってくれたのはエスパーアキさんだった。



「アキさん本当にありがとう!」




「いえいえ」と優しく笑うアキさんは「アオイちゃんの浴衣姿楽しみだよ」なんて王子スマイルを私に向けた。




良かった、これで一安心だ。
レイジにもこれ以上バイトバイト言って怒られないですむし、何より学園祭で浮かずにすむことにホッと胸を撫で下ろした。


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