星月夜のマーメイド
初めて彼に会ったのは入学して間もない頃。彼は3年生でした。
同じ教育学部でゼミも一緒でした。
教授の所に行ったとき彼も教授の所に来ていて、挨拶をしたのが最初の出会いです。
軽いホームシックにかかっていた私に優しく接してくれ、東京の事や大学の事、時には勉強も教えてくれました。
優しい彼。
頼りになる彼。
彼と出会ってたくさんのことを学びました。
同じ頃、彼も私の事が気になり始めて…。
私たちはいつのまにか、お互いをかけがえのない存在だと認識するようになりました。
嬉しかった。
毎日が楽しかった。
でも彼は悩んでいた。
たった一人で。
素振りも見せず。
私が彼の奥底の深い悲しみを知ったのは、それからしばらく経ってからのこと…。
私たちの関係に変化が訪れたのは、私が3年生になったばかりの頃でした。
それは…。
私たちが結婚をしたからです。