【短編集】ライン
そんなやりとりをした2ヶ月後、僕と彼女の間にあった色んな壁を無視して、僕らは線を越えた。


だけど、越えた後の罪悪感やら背徳感やらのせいで、それ以来僕は彼女に触れられなくなった。



触れようとしても触れられず、僕の気持ちを彼女に伝えられないまま3月になり、あと少しというところで、僕は彼女の手を振り払ってしまった。

あの、細くて、白い、彼女の腕を。

あの時の彼女の顔は忘れられない。



綺麗に整えられた眉が一瞬にして歪んだのを、僕は忘れられない。

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