heart and cold~私には貴方だけ~【完】





「なんでもなくないだろ?」



静かで優しい声音が耳元で聞こえたと思えば、後ろからはるき君に包まれた。



「なによ?」



人の気も知らないで軽率な行動をするはるき君と密着していたくなくて、早く離れて欲しさに声は低くなる。



「放っておける訳ないだろ?」



離れるどころかますます密着される。



…そうやって思わせぶりなことをする。



本当は離れて欲しくなんかない。



だからってまるで彼を利用するようなことはしたくない。



優しくしてくれるから甘えるなんて、気持ちに気づいた今は絶対に嫌。



余裕が無いからってもうはるき君に流されたりしないんだから。



「大丈夫だから、むやみやたらに優しくしないでくれる?」



精一杯の拒絶の言葉を吐いて腕の中から抜け出した。





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