嘘吐きなその唇で



「そうそう。俺のことだけ考えて、俺だけを見ろよ」



『は……?』



“朝比奈さん、はき違えてる”



そう言うつもりが、何も言えなくなってしまった。



朝比奈さん、それは反則だよ。



私に見せた、その凄艶な笑みに見惚れないわけがない。



私は悪魔の微笑みという罠にはまってしまった。



――あぁ、今日も夜が長い。



あなたは今夜も禁忌を犯すのね?



それに対して、私は拒否する権限がないからどうすることも出来ない。


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