♡祐雫の初恋♡

「先日、麗華嬢と乗馬会に来ていたでしょう。

 麗華嬢とは親しいのですね」
 
 他人に関心を示さない麗華が、珍しく年下の祐雫を伴い、

 乗馬初体験の祐雫を丁寧に指導していた姿が、真実の印象に残っていた。


「失礼いたしました。

 乗馬会でお会いしてございましたの」

 祐雫は、真実の顔を真っ直ぐに見つめて、記憶を辿ってみるのだが、

 全く思い出せなかった。


「そういえば、先程、嵩愿と親しげに話をしていたけれど、

 嵩愿とは付き合っているの」

 真実は、麗華と琳子との婚約を解消して以来、

 女性と一緒にいる姿を見たことがなかった慶志朗が、

 珍しく祐雫と会話していたので、不思議なこともあるものだと感じていた。


「時折、お話することはございますが、

 お付き合いなどは……

 嵩愿さまは、お忙しいお方でございますので」

 祐雫は、真実の問いに顔を赤らめる。


(慶志朗さまをお慕い申し上げてございますが、

 慶志朗さまのお気持ちは全く掴みどころがございません)


 祐雫は、慶志朗から受け取った小さなメモを入れたバッグを

 想いを籠めて、強く抱きしめる。


 真実は、祐雫の手を取って、真剣に訴える。

「祐雫さん、それでは、ぼくとお付き合いをしませんか」

 真実の真剣なまなざしが注がれた。




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