♡祐雫の初恋♡

「あの、嵩愿さま、

 少しばかりお時間はございますか」

 
 祐雫は、桜池の夕暮れを慶志朗へ見せたいと思い立ち、

 慶志朗の予定が気になった。 
 

「今日の予定は、会社の晩餐会が7時から入っているだけで、

 当面は、祐雫さんを送っていくのが最優先の予定です」


 慶志朗は、気紛れで祐雫をこっそりと見に来たつもりが、

 家まで送っていく気持ちになっている自身に驚いていた。



「よろしければ、少し寄り道をして、

 避暑地の虹のお礼をさせていただきとう存じます。


 次の橋を右折くださいませ」
 

 祐雫は、運転中の慶志朗の横顔をドキドキしながら、

 時折、盗み見る。

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