奏でる場所~SecretMelody~
―――――――――――


結局、昨日の夜、あの人は来なかった。



おかげで、2時間ぐらい無言でピアノを弾いていたぞww



「陽輝っ!来たぞー♪」



ガラっと扉を開けて、奏は顔をのぞかせる。



「おぉ~~!!奏、来てくれたんやぁ~!!」



奏は俺の座っているベットの横にある椅子に腰をかけた。



ベットに座るか一瞬迷ったんだけどな笑



「なぁ、奏~?最近、学校どうや…?」



「陽輝と宙がいなくて、ちょっと寂しいけど、坂下も立花もいるしな!なんとか仲良くやってるよ。ファン…クラブ?だっけ?それは、うるさいけどなw」



そういいながら、陽輝にニコっと笑って見せる。



「…///そっかー…。俺もはよ行きたいなぁ…。」



「早く治して、一緒に行こうなっ!!奏、ずっと待ってる!」



「ああ。…俺な、退院したら、一杯やりたい事あるねん!」



…ははっ



話をしている陽輝、すっごくキラキラしてて…



思わず見とれてしまう。



「――食堂のおばちゃんとも喋りたいし…音楽室にも…♪」



…え?



音楽室?



何のためだ?



先生にも用事があるのか?



「どうして、音楽室?」



奏が聞くと、陽輝は“しまった!”というような顔になる。



??



「あー…言ってしもた…」



どういう事だ?



「何?」



「まーいいや、奏やったら。…」



一瞬悩んだ顔をした陽輝は、パッと表情を変え、笑顔で話をしだした。



「あんな…うちの寮には秘密の音楽室が合ってな…。」



「――え…?」



何で…陽輝が知っているんだ?



あの音楽室の事…。



「でな…。そこで、めっちゃピアノの上手い子に会って、友達になってん!!」



嘘…。



それってまさか…。



「そ、それ、いつの話…?」



「んー?確か、入学してすぐぐらいやなー…。あ、ほら、俺と奏が呼び捨てで呼ぶようになった日や!!」



やっぱり…。



それ、奏だ…。



あの男の人は…陽輝だったんだ。



「そー…なんだ…。」



陽輝は奏だって気付いてないみたい。



計画変更。



それなら隠しておこう。



奏だって分かったら、ガッカリするかもしれないし…。



奏は真実を隠しておくことにした。



また、こーやって隠し事が増えていく…。



奏はいつまでこうやって、皆に秘密ばっかりしている日々が続くのだろうか。




< 156 / 233 >

この作品をシェア

pagetop