奏でる場所~SecretMelody~
「…ぐしゅ…ぅぅ…」



「いけるか?ほんまごめんやで?」



やってもーた…。



女を泣かせた…ましては好きな人を…



はぁー…



なにやってんや、俺。



俺は、奏の頭をポンポンっとなでる。



「…え?」



「ごめん…俺こんなことしか出来ひんけど…」



そういうと奏はクスッと笑った。



「奏は子供じゃないぞ?よしっ、泣いて悪かったな!



時間の無駄だ!次、いこっ?」



さっきまでの奏はどこに行ったんだろうと思うほどの、明るい笑顔。



スっとした顔がふにゃっと和らいぐ。



そして、いきなり立ち上がった奏はバランスを崩した。



「わッ!」



いそいで支えたせいで、奏の顔が俺の顔の真ん前に…



間は3㎝ぐらいしかない。



…くそっ!



こんな、目の前に好きな人がいたら、誰でも理性吹っ飛ぶわ!!



…我慢、我慢、我慢…。



「え…あ!!あああ…ありがとう!」



奏は今の状況をやっと把握したのか俺から体を離した。



はぁーーーー…



ヤバかった…



「ほ…ほら!いくぞ!」



奏は顔を真っ赤にして、そっぽを向く。



そして俺に片手を差し出した。



「クスッ…はい、はい!」



ツンデレは反則や。



俺は奏の手に手を重ね、立ち上がった。







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