祈りの月
『西の海から』

「西? と言うと、ルキア大陸の方?」

『もう少し遠くかしら・・・・・・』

「へえ、すごい長旅だな」

 ルキア大陸は、このラディア大陸の隣だが、距離はかなりある。

 憶測でしかないが、数ヶ月以上はかかるはずだ。船を使ったって結構時間がかかるのだから。

「なんでまたこんな遠くまで? 何か用でも?」

『私、カイに会いにきたの』

 レイアの予想外の答えに、ドゥリーは目を丸くしてカイを見やった。

「カイに?」

「―」

 カイは小さく肩をすくめた。

 なんて答えればいいのか分からない。

「やるなぁ、カイ」

 困った様子のカイを見て、ドゥリーはにやりと口の端を持ち上げた。

「・・・・・・深い意味はないと思うけどな」

「それで、なんで、カイに?」

 カイの言葉はとりあえず聞かなかった事にして、ドゥリーはレイアに質問を続ける。

「どうして、わざわざ会いにきたんだ?」

『カイは海をとても大切に思ってくれているわ。私たちには分かるの。だから一度、会ってみたくて』

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