祈りの月
海洋研究所は、ティルシアの原始の海のすぐそばに建てられている。
青い海に映える、白い建物だ。
「ああ・・・・・・もうだめだ」
その白い建物の一室で、目の前の机に置かれた水槽を覗き込みながら、研究員のカイはぽつりと小さく呟いた。
彼の淡い緑色の瞳に、水の揺らめきがうつって、不思議な色を作り出す。
蛍光灯の青白い光に包まれた広い室内には、たくさんの水槽が並べられ、ろ過装置のモーター音が小さく響いている。
「・・・・・・全滅したのか?」
同じ部屋にいた同僚のドゥリーが、カイの言葉を耳にして歩み寄り、水槽の中を見下ろして、眉をひそめた。
ドゥリーはカイと同じ地球人だが(海洋研究所は、基本的に地球人で運営されている)、髪も瞳も真っ黒で、金髪緑瞳のカイとは容姿がまったく異なっている。
「かわいそうに・・・・・・」
カイの前に置かれている小さな水槽の中では、カラフルな縞模様の小さな魚が数匹、力をなくして浮かんでいた。
惑星ティルシアの原始の海に住む海水魚で、珍しくもない種類である。海洋汚染調査のサンプルとして、昨日捕獲したばかりの魚たちだった。
「また、明日、船を出さないとな」
カイは水槽を棚から取り出すと、机の上に置きながらポツリと呟いた。
青い海に映える、白い建物だ。
「ああ・・・・・・もうだめだ」
その白い建物の一室で、目の前の机に置かれた水槽を覗き込みながら、研究員のカイはぽつりと小さく呟いた。
彼の淡い緑色の瞳に、水の揺らめきがうつって、不思議な色を作り出す。
蛍光灯の青白い光に包まれた広い室内には、たくさんの水槽が並べられ、ろ過装置のモーター音が小さく響いている。
「・・・・・・全滅したのか?」
同じ部屋にいた同僚のドゥリーが、カイの言葉を耳にして歩み寄り、水槽の中を見下ろして、眉をひそめた。
ドゥリーはカイと同じ地球人だが(海洋研究所は、基本的に地球人で運営されている)、髪も瞳も真っ黒で、金髪緑瞳のカイとは容姿がまったく異なっている。
「かわいそうに・・・・・・」
カイの前に置かれている小さな水槽の中では、カラフルな縞模様の小さな魚が数匹、力をなくして浮かんでいた。
惑星ティルシアの原始の海に住む海水魚で、珍しくもない種類である。海洋汚染調査のサンプルとして、昨日捕獲したばかりの魚たちだった。
「また、明日、船を出さないとな」
カイは水槽を棚から取り出すと、机の上に置きながらポツリと呟いた。