祈りの月
「質問しすぎだな、ごめん」

「ううん。でも、嬉しい。たくさん話してくれて」

「―」

「ずっとね、私、何ヶ月も一人で旅してたから・・・・・・ちょっとね、寂しかったんだ」

「そうか」

 確かにルキア大陸から、ラディアまでは、泳いでくるにはそうとうかかるだろう。

「海ってすごく広いから―・・・時々、一人すぎて苦しくなるの・・・・・・時々、だけど」

「――そうか」

 レイアの言っている事がなんとなく分かる気がした。

 孤独。

 カイもある意味では、心の全てを許す相手がいないから孤独の辛さは分かる。

 傷つかないように――いや、いつ傷ついても大丈夫なように、この10年間、カイは心に鎧を着けて生きてきたのだ。

 父のせいで、汚染された海。

 その息子である自分は、いつ、誰に非難されてもおかしくなかっただろうから。

「・・・・・・どうして、そんな思いをしてまでここへ来た?」

「言ったじゃない。カイに会いにきたって」

 星のきらめきを宿した瞳で、レイアがカイを見つめる。

「――」

 その美しい眼差しに、カイは息を呑んだ。

 なぜ、だろう・・・・・・レイアの瞳はとても美しい。

 今まで出会った誰よりも。
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