祈りの月
 いつから、その祭りに参加していないんだっけ・・・?

 記憶を辿る。

 確か―研究所に入ってからは行っていない。

 月祭りは、家族・友人・知人、たくさんの人の人と共に祝う。

 そういった場は、カイは苦手だった。

 自分を知る人を増やしたくなかったから・・・。

 けれど、地球へ帰るのならば、確かに今年の月祭りがカイにとっての最後になるのだろう。

 カイは読み終えた手紙を机の上に置くと、ベッドの上に体を下ろした。

 明日行く場所のことを考えると、気が滅入って仕方がなかった。

 子供の頃には、遊び場として毎日のように足を運んでいたが、今はできれば、もう二度と近寄りたくない場所だ。

 けれど。

 向き合うと決めた。

 レイアに、真実をきちんと告げなければならない―。

 例え、責められても。

 真実を伝えなければならない・・・・・・。
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