天使の声を…
ふたりは近くの川まで行き、肩を並べて座る。


「今日は月があるから明るいわね…」


「そうだな…」


「…久しぶりだなぁ…夜に散歩するの」


「久しぶり?」


「ええ…昔、夜にこっそり抜け出して散歩してたの」

「へぇ…お前そんなことしてたのか」


「ええ……だって…縛られるような毎日だったから…」


「………」


「ただ聖術師ってだけで特別扱いされて……着る服も食べるものもすべて決まっていて……本当に大変な日々だったわ」


「ほかのみんなから見ればお前みたいな暮らし、いいなって思う奴もいると思うぞ」


「え?」


アイレンは近くの石を拾い、川に投げる。


「まあ…俺はお前を聖術師としてじゃなくて、ひとりの女として見るから」


「……ええ、ありがとう」



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