俺様と闘う私『一部・完』
 「乗れ」



 偉そうに一言告げて、顎をしゃくって指されたのは……国産だけど、ちょっと高そうな黒塗りの車だった。


 迷って後ろのドアに手をかけようとしたら



 「前、座れよ」



 ギッと睨まれ、ドキドキしながら車の助手席のドアを開けた。



 ―――だ、だ、だってね!



 私、生まれて初めてなんだもん!!


 その、つまり……ね。


 人生初の助手席!!!



 生まれてこの方、助手席になんて座ったことなかった。


 父が運転する車の隣には必ず母が座っていたし。


 私は必ず後部座席だった。


 それって普通でしょ?


 お父さんが亡くなって、車を運転する人間は居なくなったし、私のお仕事は自転車だし。



 だから


 本当に


 本気で


 人生初の!!!



 助手席……
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