俺様と闘う私『一部・完』
 どういうことですか……という母や、そしてよく事態を飲み込めていない私を慮ってだろうけど。


 母の質問を皮切りに、志貴は丁寧に説明をしてくれた。



 「今回の事件、ひき逃げ……とちらりと聞きました。まだ相手を認定できていないとも。
 見つかった時、相手の方が自分に完全に非があると認めればこちらとしては問題ありませんが、実際逃げてる相手がどう言ってくるか分かりません。もちろん見つかるのかも……
 時間が経つと事件は風化します。もちろん記憶も。
 そうすると死者は語れません。どうしても、生きている人間の意見は強くなります」



 そこで、一息切って私達が理解してるかを目で確認してきた。


 私はこくりと頷いて続きを進めた。


 母は、だんまりしたままだった。



 「そんなとき、専門知識を持った人間が闘った方が、ずっと有利になります。言い方は悪いですが、素人には分からない点を攻めたりも、調べたりも可能です。
 私ができるのはあくまでお手伝い……ですが、それでもお母様の死にシコリがないように、一緒に戦える力になれると私は思います。
 ですから、お手伝いさせてもらえませんか?」




 強い視線で、ジッと母を見据える志貴。


 それをピクリとも動かずに受け止める母。
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