俺様と闘う私『一部・完』
 目を合わせるのが恐くなって、家の中へと視線を泳がせていると





 「理香」



 
 耳奥で響くように名前を呼ばれて、そろりと顔を上げ視線を合わせた。



 頬に触れる手も、重なる瞳も熱い―――




 「俺が見つけてやるから。絶対に」

 「志貴……」




 志貴の中にある熱い気持ちが手のひらからも瞳からも、そしてその言葉から伝わってきて、胸の奥がグッと熱くなる。



 
 私のおばあちゃん。



 会ったこともないはずの志貴が、どうしてこれほどまでに想ってくれるのか。



 それは、さっきの話で私への恩返しと分かった。
 


 だけど、だけど……

 

 
 「恩返しなんて、いらない、よ?」



 志貴の熱い気持ちを感じるほどに、私の心のどこかが悲しくなった。



 それの理由は分からない。



 ―――ただ。



 志貴の気持ちが嬉しいと感じる半面。



 彼にとって私が、ただのクライアントになってしまうようで。


 それが……酷く辛い。


 それだけは分かった気がした。
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