俺様と闘う私『一部・完』
 「私、ただの配達員なの。志貴にそこまでしてもらえるような、そんな存在じゃ、ない」



 自分で言いながら辛くて、目に涙が浮かびそうになる。


 それをごまかしたいのに志貴の手が私の頬を掴むから、隠したくても隠せない。


 顔を小さく振って離れようとしても、さらに力を込めてグッと正面を向かされてしまった。




 「俺が、勝手にやるだけだ。気にするな」

 「するよ、私は。だって、だって……」




 だって、の後の言葉がついて出てこない。




 だって、私は。志貴のことを―――?


 私は、私は。



 どう、想ってる……?





 声を詰まらせて、口を噤んだ私。



 それを見てふぅっと息を吐いた志貴が私を射ぬくように、見つめて




 「じゃあ、契約料だけは頂く」




 そう言った後、正面を向けたままだった私の顔を少しだけ上へと向けた。




 そして……  
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