俺様と闘う私『一部・完』
 カップをそっとソーサーに置いたと同時に


 「出来たか?」



 玄関がガチャリと開けられて、低い声が聞こえてきた。


 ―――志貴だ。



 トン、トン、トン、トン



 近づいてくる音に、やけにドキドキする。


 おかしい、なんで私が志貴にドキドキしなきゃいけないの?


 そう思うのに、心臓が早鐘を打つのが止まらない。


 もう来るなっって思うと同時に、俯く私の前に志貴は立っていた。



 「完成か?」



 麗華さんに向かって言ってるのだろうその声に



 「もち、よ」



 嬉しそうな声でそう返事をする麗華さん。



 私は恥ずかしさのあまり、涙がでそうになる。


 顔が熱くて、止まらない。


 なぜだか必死で手のひらで顔を仰ぐ。


 するとすっと手が伸びてきて、私の顎を掴んで上へ向かされた。



 「なっ!?」



 慌てる私を余所に、値踏みするような目つきで



 「ふーん。まぁまぁ、だな」



 そう言ってにやりと笑う志貴。



 ―――ムーカーつーくーっ!


 そう思うのに……
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