澄んだ空の下で

それにしても高級すぎでしょ。

外壁だって、物凄く綺麗しちゃんと清潔感が保ってある。


ここを見ると、あたしの家があまりにも汚い所だって分かる。

そんな所を、恭に見られたなんて思うと恥ずかしくて、恥ずかしくてどうしようもなかった。


「…つか、なに?」


不意に聞こえた恭の低い声に身体がビクンとした。

壁に背をつけて思わず耳を声のする方向に向ける。


「おかえりなさいませ、恭様」

「だから何だよ、」


中年の男の人の声だろうか。

畏まった声に身体が硬直する。


いや、それ以前に恭の物凄い低い声に硬直した。


「お父様が帰られました。一度、お話をしたいと申しておりますので一度帰られてはどうかと…」

「は?それ言いにわざわざ?」

「はい」

「つか訳わかんねー、俺なんもする気ねーから」

「けど――…」

「条件じゃなかったのかよ。だから俺、もう一度行ってんだけど」

「えぇ、それは分かっております」

「だったらよくね?別に迷惑かけてねーし」

「……」

「マジそー言うの面倒くせーから…」

「そう言われましても」

「伝えといてよ、あの人に。こっちは真面目にやってんのにしゃしゃり出てくんなって、」

「……」

「冗談じゃねーよ、」


意味が分からない会話に耳を傾けていると、突然角からヒョイと現われた恭に思わず目を見開いてしまった。
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