澄んだ空の下で
…―――
「…おい、若菜っ、」
学校に着くなり飛び交ったのは荒くしたアオの声だった。
おはよ。…と、そう言いかける前にアオに腕を引っ張られる。
「ちょっ、なに?」
もう今じゃひと目なんて気にしてらんない。
人気の少ない場所に来ると、あたしは眉を寄せた。
だけど、それ以上にアオの方が顔を顰めてた。
「言わなかったっけ、俺」
「え?」
「恭さんと係わんなって」
「あー…」
「あー…じゃ、ねぇよ。俺が知らねぇとでも思ってんの?お前、一緒に居ただろ?恭さんと、」
「……」
やっぱ情報早すぎる。
でも、そりゃそうかも知れない。
あんだけ目立つ人だったら誰でも気付くだろう。
そして、その隣に居るあたしが気になるはずだ。
「つか、マジやめろって」
そう強く言ってきたアオにあたしは視線を上げた。
「なんで?」
「なんでって、恭さんはよくねぇからだって」
「よくないって、アオ知らないじゃん」
「いやいや、お前よりかすげぇ知ってるから」
「でも、アオが思ってる程、悪くないよ、あの人」
「あのな、若菜、」
フーっと一息吐いたアオは顔を顰めたまま乱暴に髪を掻き乱した。