澄んだ空の下で
…多分、こっち。
見えなくなった恭の姿を後で追う。
だけど。
「…-――っ、」
角を曲がった瞬間、一瞬にして目が見開いた。
慌てて身体を引っ込めて隠す。
荒くなってしまった息を整えようと、呼吸を落ち着かせようとする。
だけど、バクバクと鳴り続ける音に戸惑いは隠し切れなかった。
…なんなの、あれ。
目に映ったのは恭と女が唇を交わして居る瞬間だった。
壁にもたれている恭の真ん前で、女が恭の首に両腕を巻きつけ唇を合わせてる光景。
あたしの知らない見た事もない女だった。
あの、サラって人じゃない。
「…ねぇ、恭。抱いてよ」
「……」
秘かに聞こえてきた声にまた新たに心臓が踊りだす。
…あぁ、そっか。
そっか。
そっか。
頭の中を駆け巡るのはその言葉ばかり。
美奈子が、言ってたな。
誰とでも寝るって、そう言ってたっけ。
「…ま、まって恭。…ここで?」
あたしの心臓がドクンと鳴る。