澄んだ空の下で
「あー…美奈子が心配で…」
思わず吐いた言葉がそれ。
このまま帰っちゃおうって、思ったけどそー言う訳にもいかなくなった。
でも、だからと言って、美奈子を心配してたのは本当。
だから、ここに来たんだけど。
「あー、そっか。ごめんね、休んじゃって。ちょっと体調悪くてね。…風邪かな」
表情を崩したかと思うと、すぐにお母さんは口元に笑みを作った。
「大丈夫、…ですか?」
「あ、うん。寝てれば大丈夫だと思うよ。明日には行けるはずだよ」
「そう、ですか」
「…なんか、あった?」
「え?」
「いや、ううん。ちょっと、なんか浮かない感じだったから」
「あ、いえ」
「あー…良かったら寄ってく?なんか飲み物でもどう?」
「…ありがとうございます。でも、今日は…」
「そっか。じゃあ、また来て。美味しいケーキ用意してるから」
「すみません…」
「ありがとね、わざわざ来てくれて」
「いえ、」
軽く頭を下げると、あたしは来た道を引き返した。