澄んだ空の下で
迷子の様に肩を落として歩いた。
交差点に溢れる人が邪魔で、邪魔で仕方がなかった。
…みんな、邪魔。
途方に暮れるように彷徨って着いた場所は結局一つしかない自分のマンション。
どうやって、どの道を歩いて帰って来たのかも分からない。
ただ、気がつけばマンションに居た。
あのビルになんて行けない。
行って、恭に会うのが怖かった。
見れば苦しくなる。
ベッドにバタンと倒れ込んだ後、深く布団を被った。
記憶が消えればいいと。
何もかも全て嫌なものは消えればいいと、布団の中で蹲った。
そして、あたしは次の日も、その次の日も、あのビルには行かなかった。