澄んだ空の下で
入ってすぐに目についたのが、クローゼットの扉だった。
そこに掛けてあるビニール袋に包まれた見覚えのあるもの。
それをそっと掴んだ瞬間、
「違う…」
声とともに覆われていたビニールを外した。
そっと触れた感触。
あたしの制服じゃない。
いや、あたしの学校の制服だけど、あたしが着ていたものじゃない。
真新しくて、生地がパリパリとしている新しい制服。
「…なんで?」
そう疑問に思いながらもあたしはその制服を身につける。
「お気をつけて…」
部屋を出た瞬間、背後からの声にハッと振り向く。
軽く心配そうに微笑んでいる原田さんを見た瞬間、思わずあたしの口が開いてた。
「あ、あのっ…」
「はい」
「これって…」
そう言いながら制服の裾を軽く引っ張る。
その仕草に気付いた原田さんは、「あぁ」と言いながら視線をあたしに切り替えた。
「汚れていたので」
「汚れてって…でも新しいのなんて」
「私は言われた通りにしただけですので」
「言われた…通り」
「はい。恭様に頼まれてしただけですので、ご本人に聞いてみては?」
「……」
それ以上、何も言えなかった。
全て恭で動いている原田さんにこれ以上深くなんて聞けなかった。