澄んだ空の下で

「あ、いや…何でもないです」


口を開いた事に後悔するも、千沙さんは何故かまだ笑みを漏らす。


「嫉妬だねー…」

「はい?」

「って言うか、あたしも若菜ちゃんに嫉妬してた頃があったんだけどー…」

「ごめんなさい。別にそんなつもりは…」


アオとは、何もないの。

ほんとに…


「ま、いいけどね。まー…けど恭は相変わらず昔からモテてるからね。あんな素っ気ないのに」


あはは。と声に出して笑う千沙さん。


その後、暫くして病室を出てすぐに千沙さんの言葉が頭の中を駆け巡ってた。


“待ってるだけじゃダメだよ、恭は絶対自分から寄ってこないから。だから若菜ちゃんがいかなきゃ…”


そんな事、言われてもな。


恭とは会わない方がいいって、そう思ってたのに。

じゃなきゃ、また辛くなりそうなの。


でも会いたいって気持も大きくて、どうしたらいいのかなんて分んなかった。
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