澄んだ空の下で

「周りから遊び人だと言われてもおかしくねーよな、実際そうだし。あの家に相応しくない息子だと言われても仕方ない」

「……」

「兄貴と姉貴は優秀だって言われるのも当たり前だしよ、俺はどーしようもねーって言われてんのが親父からしたら気にくわねーんだよ」

「……」

「何が世間体だっつつーの、自分の価値を下げたくねーだけじゃん…」


“くだらね、”


ポツリと付け加えられた言葉。


長きため息を吐き出した恭は視線を遮る様に目を片腕で隠す。


ずっと今まで抱えてきたんだろうか。

ずっと今まで思いつめてきたんだろうか。


はかりしれない位の、苛立ちと悲しさを抱えてきたんだろうか。


千沙さんが言ってた。

恭は寂しい奴なんだよって。


その言葉が今になってようやく分かった気がした。


恭の噂はよくないって、そう周りは言ってた。

でも、そうさせたのは大人じゃん。


勝手なんだ、大人なんて。


でも、あたしは恭の事をどうしようもない奴なんて、思った事ないよ。



…一度も。
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