未熟色の君たち
旬君は、いつも玄関で由香里ちゃんの事を待つ。
私は初め、そんな旬君を横目に見つめ帰るだけだった。
隣のクラスっていうのもあって、気安く話しかけることができずにいたから。
けれど、私の心臓はいつだって旬君に反応していて、まともに顔を見ることさえできない。
だけど、年が明け、冬を越え、春が来る頃。
私の心臓は、反応するだけじゃイヤだって主張し始めた。
だって、寂しそうな旬君の顔は見たくないもの。
由香里ちゃんを待つ、寂しそうな旬君をいつまでも見ていられない。
「大崎君」
思い切って話しかけた声が、少しだけ上ずってしまい耳が熱くなった。