ウェスターフィールド子爵の憂鬱な聖夜


 子爵は高飛車にさえぎると、別のことを問いかけた。

「この一年、どんなふうに暮らしてたんだい?」

「どうって……、ただ学校で村の子供達を教えながら、下宿と学校を往復する毎日だったわ」

「あのひどい下宿でね。君が健康をひどく損ねなかったのが不思議なくらいだ。それに英語も満足に話せない無学無教養な子供達を教えるなんて、優秀な君のことだ。さぞ大きな成果があがっただろうさ」

 ローズがムッとするのを見ても、彼は皮肉な口調を変えなかった。

「無学無教養で来たのは、教育にあまりにも恵まれなかったからでしょう? 機会さえあれば、あの子達だって」

「やけに熱心に弁護するね。わが愛しのレディは」

 またからかっているんだわ。キングスリー家のパーティの時といい、こんなに意地悪な人だったかしら。

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