ウェスターフィールド子爵の憂鬱な聖夜
レースのカーテンと天蓋付きの豪奢なベッド、優美なデザインの化粧テーブル、暖炉脇には皮ばりのどっしりしたカウチ。
ローズが入るのをためらっていると、子爵は手を取って彼女を部屋へ引っ張り込んだ。すぐに薪と火種が入り、暖炉に赤い火がパチパチと音を立てて燃え始める。
「浴槽もすぐ準備できるからね。着替えたら降りておいで。食事にしよう」
「こんな立派なお部屋より、普通のお部屋で……」
途方に暮れたように呟くローズを無視し、「じゃあ、また後で」と言って部屋から出ていったので、彼女は一人その場に残されてしまった。
いつの間にか夕刻になっていた。宵闇が迫る部屋にランプシェードが心地よい淡黄色の光を投げている。
静かな部屋に暖炉の薪がはぜる音だけが時折響く。着替えと言われても、服もないのにどうすれば。
そう思った時、化粧テーブルの上にさっき男が置いていった衣装箱が目に留まった。近づいて開けた途端、思わず感嘆のため息が漏れる。