僕の可愛いお姫様
自室の玄関先。
ドアが閉まるのと同時に、ギュッと抱き締められる。

「梅雨李、冷たい。
寒かったでしょ、大丈夫?」

「ん。平気。」

泉にそうされると、確かに安心する。
なのに、瞼の奥には、瑞穂の姿が焼き付いていた。

あれから瑞穂はどうしたかな。
直ぐに帰ったかな。
独りただずむ瑞穂の姿が散らついて、何故か、哀しかった。

泉に引かれた逆の掌の中では、瑞穂に貰ったカイロがまだポカポカしていた。

返しそびれちゃったな、なんてどうでもいい事を考えていたら、泉がその様子に気付いたみたいだ。

「梅雨李、この時季にカイロなんて持ってるの?」

まるで私がした様に、泉もクスクス笑う。

「違うの。瑞穂がね、貸してくれたんだ。
寒がりなんだって。」

私も同じ様に笑ったのに、泉は、違った。
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