僕の可愛いお姫様
血染めパンドラ
不意に、か解らない。

「目覚めた」という感覚とも少し違う。
一瞬記憶が飛んで、瞬きをした次にはすっかり景色が変わっている。
そんな感覚だった。

見慣れた筈の部屋は、「違う世界」だった。

よく目を凝らして見る。
相変わらず閉め切ったままのカーテン。
…見憶えがある。
テーブルもソファもテレビも…周りにある家具も…憶えている。

なのに「何が」、「知らない世界」だと思わせているのか。
答えは簡単だった。
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