僕の可愛いお姫様
拘束する為の道具。

今、目の前で起こっている事は、「二次元」、そうじゃなくても私とは無関係の、まったく関わりを持たないであろう世界の話に過ぎなかった。

それなのに、これは現実で起きている事実。

脳内はいつでもパニックを起こせる準備が出来ていた。
それでもまた別の脳内では、パニックになんてなってられない、考えろ、と冷静な自分もいた。

何故自分は今此処に居るのか。
「彼に誘われたから」だ。

何故自分はこんな状態なのか。
「彼がしたから」だ。

何故?
「解らない」。

その理由だけがどうしても解らない。
壮大な「施設」を創り上げた作業力にも、そもそも「こんな事」を思い付いた事にも感心すら出来そうな程冷静になれるのに、
「私をこんな状態」にさせたその思考には、混乱せずにはいられなかった。

ゆっくりゆっくり、瞬きを繰り返す。

暗闇の中、慣れない視界。
信じ難い現実。
何一つ理解出来ない事実。

これは何だ?

嫌だ…嫌だ…。

「現実逃避。」

一番強く、脳が促す指令だった。

ゆっくり、ゆっくり、目を閉じる…。
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