僕の可愛いお姫様
「解ってるよ。梅雨李が言いたい事は。

考えたんだ。必死で考えた。
莉世が大切じゃないわけじゃない。愛だってある。情だってある。
でもそれは…莉世が望む様なソレとは違うんだって、ずっと気付いてた。

それなら何で今更になって、って言うかもしれない。
甘えてたんだよ、俺は。
莉世の想いを受け入れれば、いつかは俺だって莉世の気持ちに追い付いて、あいつが望む形になれるかもしれない。
そう思えるくらい、莉世の愛情は大きかったんだ。

でも違ったんだ。日を追うごとに自分の感情が明確になる。
莉世の気持ちを受け入れたびに、自分の中の想いは明確になる。

『俺が触れたい人は誰だ。』
『俺が欲しい物は何だ。』

俺の中の俺が、責め立てる。
一日、一日、莉世に『愛してる。』と言って、傷付ける。
心の中で繰り返し莉世に罪を滅ぼしながら自分を殺して、莉世じゃない、違う人を抱き締めて……おかしいだろ。」

自重気味に笑う瑞穂。
いつもとは違う、揺れる彼の声。

私は必死に考えて、けれど返す言葉を持たなかった。
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