僕の可愛いお姫様
「バイトっていうのは…嘘。
この前辞めて、まだそのまま…。」

「分かってるよ。莉世にしては行動が早いと思った。」

呆れ口調の私に、「あ、やっぱり?」と、褒めてもいないのに彼女は得意気に口にした。

ジロリと見れば、慌てて視線を外す莉世。
もう本当に、子供みたいだ。

「何で、そんな嘘吐いたの?
吐く必要もないし、折角瑞穂が来たのに。」

私は、莉世の恋愛感情はまだ少なからず瑞穂にあると思っていた。
そうじゃないにしたって、三人が顔を合わせるのも久しぶりだった。
いい機会だと思った私は、だから余計に莉世の行動が掴めないでいた。

けれど莉世は、少しだけ寂しそうに、「『だから』だよ。」と口にした。

「『だから』…?」
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