悪魔と過ごす非日常
持ってきたグラスに麦茶を注ぎ、一つは自分の前にもう一つは少女の前へ置く。
その事に疑問を抱いたのか、不思議そうにこちらを伺ってくる少女。
まぁ飲まなくても平気だって言ってた訳だし。
「飲まなくても平気だろうけど、一人だけ悪いし形だけでもと思って」
麦茶を飲みながら言うと少女は優しいんですねと笑い、ありがとうございますと続けた。
「じゃあ頂きます」
ぺこりと頭を下げた後少女はグラスを持って麦茶を飲み始めた。
コクリと喉が動いた様子から、普通に飲むことが出来ることは分かった。
だが、味覚はあるんだろうか?
「味はわかるの?」
そう聞くと苦笑い気味にどうでしょうと返された。
どうでしょうとは何だろうか?
俺の表情が不思議そうだったのか、少女は違うんですと手を自分の前で左右に振った。
「分かるような分からないようなそんな味がするんです」
「それはつまり味が薄いって事か」
俺がそう呟くと少女はあははと空笑いをする。
確かに家の麦茶は味は薄い。
ってことは味覚が無いわけでは無いんだろう。
「まぁそれはいいとして、さっきの話の続きしてくれない?」
麦茶を一口飲みそう告げると少女はいと答え真剣な表情をする。