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「さぁ、弾きなさい!!」



こんなに言っても伝わらないか・・・



「弾かない。あんたの言い成りにはならない」



「なんですって!?」



「だから・・・もう弾かない!!あたしは・・・ピアノを弾くだけの機械じゃない!!」



そう言って、あたしは部屋から飛び出した。



「お、お嬢様!?お待ちください!」



途中で磯山に呼ばれたけど、それも無視した。



『音楽』って、『音』を『楽』しむんでしょ?



あたしが音を楽しんだ事なんて・・・



「いつの話だよ・・・」



今まで、肩書きを大事にしてきた人に支配されていたとか思うと・・・十分がバカバカしくて笑えてくる。




それから数日間、あたしはお母様、そしてお父様までも無視し続けた。



お母様は何も言ってこない。



お父様には何か言われるかも・・・って思ったけど、



『そういうふうに育てた覚えはないが?』



と、すれ違いざまに言われただけだった。



あたしと話すのは、あたしと音楽が接しているからであって、



音楽と接していないあたしには、興味なんてまっさらないんだ、とつくづく感じた。
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