◇桜ものがたり◇

 祐里は、旦那さまとお客さまの手前、愛想よく振る舞いつつも、

 時間が早く経つことばかりを念じていた。


 奥さまと光祐さまは、そんな祐里の横で、

 こころを痛めて見守ることしかできなかった。


 祐里に横暴な態度をとった文彌は、旦那さまの前では、上手に立ち振る舞い、

 好印象を与えていた。

 その反面、旦那さまに気付かれないように、光祐さまには、敵意に満ちた

 毒牙を鳴らすような視線を放っていた。

 
 光祐さまは、文彌の剥き出しの敵意をしっかりと受け止め、

 耐え忍んでいた。


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