SAKURA【短編】
樹のベッドで朝を迎えた私は


起き上がろうと体を起こすと


あっという間に


樹の腕の中にまた戻される


『もう、起きなきゃ
今日、お祖父様のお墓参りに行くって
言ってたじゃない』


『もう少しだけ、ねっ?
ここんとこ、連勤で疲れてて…』


と、言いながらも


私に覆い被さってくる樹


『疲れてる癖に何する気?』


『相変わらず君はお堅いなぁ…』


と、言いながら私の胸元を見て


『やっぱり、何度見ても妬ける』


そう、言うと樹は


今も尚、私の胸元に


色鮮やかに残る


赤い小さな花びらの様な痕に


重ねるように強く口づけた










< 29 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop